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本年10月1日に宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所、宇宙開発事業団の宇宙関連3機関が統合され、宇宙航空研究開発機構として新たな出発をすることになっています。その初代理事長に山之内秀一郎さん(現 宇宙開発事業団理事長)が5月20日に文部科学大臣から指名されました。それを受けて5月23日に新理事長に対する記者会見がNASDAiプレゼンテーションルーム(東京都港区浜松町 貿易センタービル)において開かれ、合せて新機構の英語名とその略称ならびにロゴマークおよびロゴマークを付けた宇宙飛行士のフライトスーツのお披露目がありました。
山之内新理事長は記者会見で新機構への抱負などを次のように語りました。
―統合まであとわずか4ヶ月余りとなっています。統合される3機関はそれぞれ異なった長い歴史を歩んできて今日があるわけですが、それらが統合されるまでには克服しなければならない多くの課題を抱えています。
現在、組織や企業の統廃合は時代の流れ・社会の要請でもあります。私達は、統合を迎える我々にとっても、また国民の皆さんにとっても3機関が統合して本当によかったという結果を出していくよう組織全体が一体感を持って日本の宇宙開発の新しい出発点に立ちたいと思います。

また、引き続き行われた記者団とのやりとりの主なものは次のようなものでした。

質問:"3機関統合の意義を子供達にもわかり易く"

回答:3機関が関係していた分野は、ロケット・衛星・天文学・航空と大変巾が広い。それを個人商店でそれぞれやっていましたが、これからは百貨店としてやっていくことになります。魅力ある百貨店になりたいと思います。

質問:"宇宙開発は何のためにやる?"

回答:第1は「人類は本能的に常に新しい世界へ挑戦するもの」のようであること。第2に先端的な宇宙開発技術は技術先進国のシンボルのようなものであること。第3に実用衛星などのように宇宙開発の成果が私達の生活の中になくてはならないものになってきていること。第4に衛星を利用した火山活動、洪水などの地球の変化のモニタなど情報収集機能も必要不可欠な要素となっていることが宇宙開発を進める目的です。

質問:"宇宙の平和利用の原則について"

回答:ロケット技術がミサイルなど軍事目的に使われていることも事実ですが、「宇宙機関」が進めているロケット技術は専ら、探究心、天文学やチャレンジの世界であると思っています。

質問:"人員や機構の面で新機構はどうなる?"

回答:統合化を図ることで新しい活力を生むと同時に効率的な運営が求められることと思いますが、民間企業と異なり「明日から合理化します。」ということにはなりにくいと思います。精神的にはその方向を目指さねばなりませんが。

質問:"当面取組まねばならない課題について"

回答:新しい機関の組織・骨格を定めること。その上で日本が宇宙航空のどの分野で世界をリードできる技術を培っていくか戦略を練っていきたいと思います。

質問:"組織の中での統合による効率化の意識の高揚を図る方法について"

回答:具体的な方法を考えるに至っていませんが、最も大事なことは率先垂範であると思うので、自らがその気持ちをもって行動し、皆さんにもそのメッセージを発信し続けることだと思います。

質問:"有人飛行について"

回答:今後有人飛行の問題も話にあがってくるでしょうが、我国の現状・予算の問題を考えたとき有人飛行の方向が当然とは今は言い切れないように思います。

新理事長と記者の意見交換に続いて、宇宙航空研究開発機構の英語名は"Japan Aerospace Exploration Agency"(JAXA ジャクサ)ということがロゴマークとともにビデオなどを用いて紹介され、このように決まったいきさつを筆者が説明しました。

要旨は次の通りでした。
―3機関統合の効果を発揮するのはまず広報からということで昨年11月頃から各機関の広報担当者が度々集って真剣な論議を重ねてきました。英語名を決めるに当っては各機関の職員からのアンケート、シンクタンクによる関係の方々へのヒアリングや論議を重ねてきました。この英語名の中には次のような意味合いを盛り込みました。

  • 宇宙航空を研究する機関であること。
  • 日本の誇りとなる機関となること。
  • また研究開発を進める姿勢として「未来」を指向し、「チャレンジング」であることです。

また、JAXAのロゴマークとして宇宙航空を表すAの所に「星」をあしらっています。この星のマークには上に述べた意味に加えて"夢"・"希望"・"目標"を表す心がこめられています。また、子供達にも覚えてもらえるように一筆書きの「星」で表しています。星の形には躍動感とスピード感がでるようにしました。ジャクサという名前とロゴマークが国民の皆さんに親しまれ愛されるようになるように私達一同もがんばらねばならないと思いますが、国民の皆さんの応援と暖かい見守りをよろしくお願いします。

以上の説明のあと、宇宙開発事業団の宇宙飛行士、角野直子さんが新しいロゴマークを胸につけたフライトスーツを着用してカメラの前に立ち、新しいロゴマークの感想や新機関への抱負などを次のように語りました。 "新しいJAXAのパッチを胸にして気が引き締まります。宇宙飛行士も新機関の全ての職員と一体になって進んでいきたいという気持ちで一杯です。3機関がこれまでに培ってきた技術を結集してより良い宇宙航空分野の開発につなげていければよいと思っています。JAXAには未来に向かっていくような力強い響きを感じますが、未来を担っていく子供達の夢を育むような力強い組織でありたいと思っています。これからも暖かいご支援をよろしくお願い致します。"

再び記者から新理事長にロゴや英語名に対する感想などを求められましたが、新理事長は、「英語名は日本語名に比べて簡潔でよいと思います。また英語名もJから始まって日本らしい響きがします。角野さんのフライトスーツもなかなかよく似合っていますね。」との感想を述べました。このあと、新理事長と角野飛行士が固い握手で記者会見をしめくくりました。(2003/5/29)

航空宇宙技術研究所 寺田博之

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