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宇宙開発の中で、私たちにもっとも身近な衛星の1つが、気象衛星でしょう。天気予報で必ずテレビ画面で紹介される雲の写真は、遠くから見守られているという安心感も抱かせてくれます。

その気象衛星が、交代することになりました。5月22日、日本の気象衛星「ひまわり5号」は、寿命が尽きたために観測を終了し、代わってアメリカの気象衛星「ゴーズ9号」が観測を行うことになりました。なぜアメリカの気象衛星が、日本の気象衛星に代わって観測を行うことになったのでしょうか。それは、新しい日本の気象衛星の打ち上げが遅れているからです。交代した「ひまわり5号」は、1995年3月、H-IIロケットで打ち上げられました。同じ年の6月から運用が始まり、約8年間にわたって観測を続けてきました。

人工衛星は、姿勢や軌道を保つために、時折燃料を噴射します。ところが、この燃料が足りなくなると、衛星は寿命を迎えることになります。将来的には、燃料補給のような技術があるといいのでしょうが、今はまだ、そのような技術は開発の途中です。そこで、燃料が切れる前に、次の衛星の打ち上げを行うことが必要です。この「ひまわり5号」の次の衛星は、1999年に打ち上げられる予定でした。ところが、ロケット(H-II8号機)の打ち上げに失敗し、衛星を打ち上げることができませんでした。

新しい衛星の開発にも時間がかかり、ようやく今年度(2003年度)に打ち上げるめどが立ったのですが、「ひまわり5号」は、それまでに寿命を大幅に超えて使わざるを得なくなってしまいました。燃料を節約するために撮影する範囲を狭めたりする努力を行ったのですが、とうとう間に合わなくなってしまい、今回の交代となりました。

さて、気象衛星は「どこに」いるのでしょうか。答えはもちろん、静止軌道です。静止軌道は、地球の赤道上空、約36000kmになります。「静止」軌道といっても、衛星が止まっているわけではありません。この高さに衛星を打ち上げると、衛星の速度が、ちょうど地球の自転の速度と同じになります。そのため、地上からみると、衛星がまるで止まっているようにみえるのです。「ひまわり5号」がいた位置は、東経140度の赤道の上空です。ここから眺めると、日本をはじめ、西太平洋やオーストラリアまで全体を見渡すことができます。実際に、「ひまわり」の画像は、タイやオーストラリアといった国々でも利用されているのです。ところで、ゴーズ9号は1995年3月に打ち上げられた、やはり古い衛星です(偶然ですが、打ち上げは「ひまわり5号」の打ち上げの5日後です)。観測のためにいた場所は、西経90度の位置でした。ここから、「ひまわり5号」と交代するために、延々と移動してきたのです。西経90度というと東太平洋の上空、ちょうどガラパゴス諸島の真上くらいになります。

いずれにしても、「ゴーズ9号」もやはり古い衛星であることには変わりありません。今年度中に打ち上げられる新しい「運輸多目的衛星」(MTSAT)が、究極の代役になります。この衛星は、気象観測に活躍するだけでなく、航空管制などの幅広い機能を持つ、次世代の気象衛星です。ちなみにこのMTSATという衛星の名前、Multi-functional Transport Satellite、つまり「運輸多目的衛星」の略称です。いろいろな機能を備えた賢い「ひまわり」が早く任務について、再び私たちに、たくさんの安心を与えてくれることを期待したいですね。(2003/5/29)

宇宙開発事業団 寺薗淳也

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