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◆ ホーム >> 最新宇宙ニュース:2003年 >> 東京大学、東京工業大学CubeSatの打ち上げが迫る!

東京大学、東京工業大学の学生が手作りで製作を進めてきた10cm立方、1kgの超小型衛星CubeSatの打ち上げが、いよいよこの6月30日に行われる。両大学の学生は2000年より約1年半かかって製作を行い、その後、打ち上げチャンスが得られずにここまで延びてきたが、ロシアのロケットROCKOTでの打ち上げが昨年末に決定し、この6月末に、学生の努力と夢がつまった世界最小の衛星が宇宙へと向かうこととなった。

1.CubeSatプログラム

CubeSatは、スタンフォード大学のTwiggs教授より提案された10cm立方、1kg以下の超小型衛星プロジェクトである。参加する大学がそれぞれにCubeSatを作り、複数の大学が同時に打ち上げるという教育プログラムである。学生が衛星開発のすべてのプロセスを経験し、さらに打ち上げて実際の世界での挙動を知ることにより、実践的な宇宙工学教育を施すことができ、また、プロジェクトマネジメントの面でも有効な教育手段であることが謳われた。また、1〜1.5年という極めて短期・低コストで開発できることから、新規技術の迅速な宇宙実証、宇宙ビジネスの舞台としても有望視されている。現在、世界で50以上の大学、NASAなどの宇宙機関が独自のプロジェクトを進めている。
日本では東大、東工大は当初から計画に参加し、いち早く完成させた。本年6月30日の両大学の打ち上げは、CubeSatの中でも最も早く打ち上げられるものであり、世界からも大いに注目されている。同時にデンマーク、カナダ、アメリカのCubeSatも打ち上げられる。

2.東京大学のCubeSat計画

東京大学の中須賀研究室では、学生のプロジェクトとして1999年から開発を始め、2001年末に図1の"XI(サイ)"の開発を完了した。主たるミッションとしては

  1. 衛星の全開発過程を経験させることによる学生の宇宙工学教育
  2. 超小型衛星のバス(基本要素)が宇宙で正しく動作することの検証実験
  3. アマチュア無線帯を使った通信実験
  4. カメラによる地球映像の取得と画像伝送実験

表1にCubeSatのデータシートを載せる。また、同時に打ち上げられる東工大のCubeSatについては、同校のホームページ(http://lss.mes.titech.ac.jp/ssp/cubesat/)を参照されたい。


図1 東京大学CubeSat "XI" (2001年末完成)

構造 10cm 立方, 1kg, アルミ A7075
コンピュータ
OBC
PIC16F877 4MHz(Program memory 8k, RAM 368)
記憶装置
EEPROM 32k + 224k
通信系
Downlink(衛星から)
430MHz 帯, FSK, 1200bps, 800mW
Uplink(衛星へ)
144MHz 帯, FSK, 1200bps
Beacon(ビーコン)
430MHz 帯, CW, 80mW
電力系
バッテリ
リチウムイオン電池, 8 cells, 6.2AH
太陽電池
単結晶シリコン, 60 セル, 1.1W(最大発生電力)
電力消費量
0.6W(平均), 5.4W(最大)
姿勢制御系 永久磁石を搭載し受動的制御(ヒステリシスダンパ付)
センサー 電圧,電流,温度,デジタルカメラ
表1 東京大学CubeSat "XI"データシート

3.打ち上げについて

ドイツ・ロシアの合弁会社EUROCKOT社の提供するROCKOT(図2)というロケットで2003年6月30日日本時間午後11時15分に高度820kmの太陽同期極軌道に打ち上げられる予定である。それに先立ち、6月5日より研究室の学生8名がプレセツク宇宙基地に赴き、衛星の最終調整とロケットへの搭載作業を行った。現在は、すべての作業が完了し、打ち上げを待っている状況である。図3にロケットに搭載されるアダプターに取り付けられた状態のCubeSat(右の下の方にある小さな物体)を示す。(2003/6/25)


図2 打ち上げ前のROCKOT


図3 ロケット搭載するアダプターに取り付けられたCubeSat


東京大学 中須賀真一

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