宇宙のポータルサイト UNIVERSE

最新宇宙ニュース

◆ ホーム >> 最新宇宙ニュース:2003年 >> 火星探査機連続打上げ 赤い星、火星をめざせ!

今年は、数万年に1回といわれている火星大接近の年です。8月27日の最接近を控え、天文関係者だけではなく、一般の方々の関心も急速に高まっています。

火星と地球は、約2年2ヵ月ごとに近づきます。今年は軌道の関係で、この近づき方がいつもより大きかったわけですが、いずれにしてもこの地球と火星が接近するタイミングは、火星の観測だけでなく、火星へ探査機を飛ばす絶好の千ャンスでもあります。
事実、火星探査機は、大体2年ごとに打ち上げられてきました。前回のチャンスであった2001年には、「2001マーズ・オデッセイ」(2001 Mars Odyssey)という探査機が打ち上げられました。アーサー・C・クラークの有名なSF小説「2001年宇宙の旅」(2001: A Space Odyssey)にちなんで名付けられたこの探査機は、火星の表面にこれまでよりも豊富に水が存在することを発見するなど、目覚ましい活躍をしています。

マーズ・エクスプレス周回機
着陸機「ビーグル2」を分離するマーズ・エクスプレス周回機(想像図)
(Copyright: ESA 2002. Illustration by Medialab.)

そして、今年のチャンスにも探査機が打ち上げられています。

6月3日、中央アジア・カザフス夕ンのバイコヌール打上基地から、「マーズ・エクスプレス」(Mars Express)という探査機が打ち上げられました。

このマーズ・エクスプレスは、実はヨーロッパがはじめて打ち上げた火星探査機なのです。ヨーロッパの惑星探査というと地味な印象を持つかも知れませんが、ヨーロッパは既に、NASAと共同で土星探査機「力ッシーニ」を開発するなど、十分な実績を持っているのです。
このマーズ・エクスプレスは、火星の回りを回る周回機と、着陸船「ビーグル2」からなっています。周回機は、火星全体にわたって写真を撮影し、表面がどのような鉱物でできているかを調べます。
一方、ビーグル2は、火星の地下の物質を採取できる、特殊な装置を持っています。これによって得られた物質は、着陸機内部で分析され、組成などが明らかにされます。
表面の物質は周回機でもある程度のことが分かります。しかし、地下の物質を上空から調べるのは非常に難しいことです。マーズ・エクスプレスでは、周回機と着陸機の組み合わせで、この難題にチャレンジします。

マーズ・エクスプロレーション・ローバ火星表面を探査する、マーズ・エクスプロレーション・ローバの想像図
(Photo by NASA)

一方、アメリカ・NASAが火星に送り込むのは、2台の双子口ーバ「マーズ・エクスプロレーション・ローバ」(Mars Exploration Rover: 直訳すると「火星探査車」)です。

このローバには、火星の岩石を採取し、中を詳しく調べるための装置が搭載されています。岩石表面を削って中の新鮮な部分を取り出す装置や、X線スペクトロメータなどを利用して、これまであまり調べられてこなかった火星の岩そのものを徹底的に調べようというのが、このローバなのです。

これまでの火星探査は、上空から写真やデータを取得したり、着陸して周辺の簡単な探査を行ってきたりしていましたが、マーズ・エクスプレスやマーズ・エクスプロレーション・ローバではさらに一歩踏み込んで、岩や地下の物質そのものを詳しく調べることで、火星の環境や、生命の手がかりを得ようとしています。
つまり、今回の2機の探査機は、火星探査の新しい段階への一歩ということになります。

2台のローバは、それぞれ「スピリット」(精神)と「オポチュニティ」(機会)と名付けられました。スピリットは6月11日に打ち上げられました。2台めのオポチュニティの打ち上げは何度も延期され、私たちをひやひやさせましたが、7月8日に無亊、打ち上げられました。2台とも今は、火星へ向けて順調に飛行中です。

この年末から来年の年初にかけて、マーズ・エクスプレスとマーズ・エクスプロレーション・ローバが相次いで火星に到着します。同じ頃、日本の火星探査機「のぞみ」も火星に着きます。そしてその火星には、既に2001マーズ・オデッセイと、1999年から探査を続けているマーズ・グローバル・サーベイヤが待っています。
合計5機(ローバなどを別々に数えると7機)の探査機が火星で同時に探査を行うのは、史上はじめてのことになります。この「火星大探査網」が何を見つけるのか。大接近後も、火星からは目が離せません。(2003/7/30)

※打ち上げ時間は全て日本時間です。

宇宙開発事業団 寺薗淳也

Copyright