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ペルセウス座流星群は、毎年7月17日頃から8月24日頃に活動する流星群として知られている。2003年のペルセウス座流星群は、8月13日13時40分(日本時間) に流星の数が最も多くなる極大を迎える。日本では8月12日晩から流星数が増えていき、ペルセウス座が空高く昇る8月13日の明け方に掛けてが、ペルセウス座流星群を楽しむチャンスだ。

残念ながら2003年のペルセウス座流星群極大日の夜は、満月の明るい光に阻まれ、肉眼で見ることができる流星の数が減ってしまう。それでも、交通量の少なくなるお盆の頃は空の透明度がよくなり、東京などの都心でもおよそ4等星の暗い星まで見えるので、1時間あたり10個から20個程度のペルセウス座流星群を見ることが可能だろう。空気の澄んだ高地や山岳地帯などでは、月明かりを散乱して空を明るくする大気中の麈(ちり)や水蒸気が少なく、月光の影響が軽減されて暗い夜空の中で輝く微光流星までも確認することができる。このような最良の条件であれば、1時間あたり60個程度の流星を見ることができよう。流星は夜空のどの方向にも飛ぶので、空が晴れていて月が直接視野に入らない方向を眺めるか、建物や木などで月の姿を遮りながら観望するなどの工夫をするといいだろう。

テンペル-タットル彗星
ペルセウス座流星群の母天体であるテンペル-タットル彗星。近日点通過の3日後の1992年12月15日に撮影された。
(H.Mikuz, Crni Vrh Observatory, Slovenia)

流星群は、母天体から放出された直径1ミリメ-トルから数センチメ-トルの彗星麈で主に形成される「ダスト・トレイル」と呼ばれる麈帶と地球の軌道が交差する時に発生する。地球とダスト・トレイルが遭遇する位置関係から、地上から見るとペルセウス座にある決まった方向(放射点)から流星が飛んでくるように見える。ペルセウス座が空の高い位置にくると流星の数も増えるので、8月12日から13日に日付が変る午前0時頃から、空が明るくなる13日の午前3時半過ぎ頃までが注目する時間帯だ。北極星を探す目印となるカシオペヤ座の隣のペルセウス座の3等星であるγ星の近くにペルセウス座流星群の放射点がある。この放射点から群流星が四散する。


ペルセウス座流星群。母彗星から離れ、何百年も宇宙を旅してきた塵が地球と遭遇して、旅の最後を華々しく輝く流星として終える。流星群の夜、地球大気は彗星からのメッセージを受け止める宇宙に浮かぶ巨大な受光器となる。
(S. Kohle & B. Koch, Astron. I., U. Bonn)

ペルセウス座流星群は、スイフト-タットル彗星(109P/Swift-Tuttle)を母天体とする流星群で、1月の「しぶんぎ座流星群」、12月の「ふたご座流星群」と並ぶ3大主要流星群の一つとしてとして知られている。流星群は、母彗星が回帰した前後数年間に出現数が数百数千倍にも増えることがある。例えば「しし座流星群」は、母彗星回帰の前後数年間に渡って流星雨や流星嵐をもたらす。過去200年間で最も流星をたくさん降らせた流星群として有名であり、母彗星の回帰周期である約33年ごとに発生するのが「しし座流星雨」である。一方、ペルセウス座流星群も周期約130年のスイフト-タットル彗星が回帰した1992年を挟んで、1991年から1994年に通常の2倍以上の出現が観測された。母彗星が回帰した時だけ爆発的に流星数が増える「しし座流星群」は比較的若い流星群だが、ペルセウス座流星群は毎年安定して流星を出現させる老舗の流星群である。

ペルセウス座流星群の麈は、秒速59キロメ-トル(時速21万キロメ- トル) と、毎年定常的に発生する主要流星群の中では最も高速の流星群である。微小な麈ではあるが、超高速で地球大気と激しく衝突するエネルギーによって、融け出した麈がプラズマとなり、上空100キロメ-トル付近で明るく輝く流れ星となる。高速流星は、上空の地球大気成分も明るく光らせる。地球大気に含まれる酸素原子から放たれるグリーン色は、オーロラ発光にも見られるものと同じ原理で発光する幻想的な光である。さらに高速流星は、上空90キロメートル付近に消えずに残る輝く雲「流星痕(りゅうせいこん)」を残す頻度が高い。超高層大気風に流されながら、時々刻々と色や形を変える流星痕の発光メカニズムはまだ分かっていない。流星が運ぶ宇宙の神秘を空想しながら、夏の風物詩「ペルセウス座流星花火」を楽しもう。(2003/8/5)


北の空

南の空


8月13日午前3時頃の東京地方の星空。北の空(左)と南の空(右)。午前3時頃には、ペルセウス座の放射点は、高度60度近くになる。図中の線は、10度おきに示した方位と高度である。南天には煌々と照る月の横に8月27日の大接近を控えた火星が-2.7等級で紅く輝いている。8月13日の東京地方での薄明開始は3時24分、日の出は4時57分である。(AstroArts ステラナビゲ-タ- Ver.6にて作成)

宇宙科学研究所 阿部新助

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