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年末になると、国立天文台には初日の出に関する問い合わせが多くなります。各地の日の出日の入りの時刻を計算するのも、国立天文台の仕事の内なのです。問い合わせを受ける広報普及室では、毎年、富士山頂や各地の名所の初日の出の時刻を計算し、その質問に備えていますが、時には全国60箇所もの時刻を計算して欲しいなどといったやや過ぎた要求もあって、いつも四苦八苦しています。とはいえ、それほど初日の出を拝む習慣が日本人に広く受け入れられているということなのでしょう。新しい年の始めに、新たな気持ちで良い年になるように太陽に祈りを込めるのは自然かもしれません。

ちなみに、日本でもっとも早く初日の出が見られるのは無人島を含めると南鳥島(5時27分)、人が定住している場所では小笠原の母島(6時19分)、本土では富士山頂(6時42分)、海抜0メートル地域の海岸線(平地)に限れば千葉の犬吠崎(6時46分)となります。もちろん、犬吠埼は地続きであるために、微妙な位置にあり、まわりの地域と1、2分の差で競っています。標高を考えると、例えば茨城の筑波山のほうが1分ほど早くなるし、また朝日が美しい町で知られる千葉・天津小湊町の清澄寺の旭が森では、300mほどの標高のため、初日の出は6時44分となり、犬吠埼よりも2分早くなっています。

ところで、北海道の納沙布(のさっぷ)岬のほうが犬吠埼よりももっと東にあるのに、どうして初日の出は犬吠埼の方が早いのか、疑問に思う人がいるかもしれません。冬の時期は、太陽の昇ってくる方向は真東よりもずいぶん南寄りです。だから、おおよそ南東の方向に行くほど、初日の出の時刻が早くなります。したがって、南にある犬吠埼のほうが、北の納沙布岬より日の出時刻は早くなります。しかし、1年中いつでも、南東ほど日の出時刻が早くなるわけではありません。というのも、夏至の前後には、太陽は北よりから上るために、北東の方向に行くほど早くなるからです。また、春分・秋分の頃には、東に行くほど日の出は早くなります。そのために、日の出をいちばん早く見られる場所の順番も季節によって違ってくるのです。

ちなみに、いちばん遅い初日の出を迎えるのは沖縄の与那国島で7時32分となります。これらの数値はいずれも2004年のものですが、毎年1分ほどずれる程度で大きな差は生じません。

初日の出は、ぜひこどもさんやお孫さんと一緒に眺めていただきたいものです。つい数年前に文部科学省が行った「子どもの体験活動調査」では、実に3割を超す子どもが太陽が昇るところや、夕日が沈むところをほとんど見たことがない、と答えているのです。確かに、「秋の夕日に照る山紅葉・・・」などとくちずさみながら、真っ赤に沈む夕日を眺めるほど、現代のこどもたちは暇ではないようですね。まわりにはビルもあれば家もたて込んでいて、見えない場合も多いかもしれません。初日の出を機会に、日の出という天文ショーを、ぜひ多くの子ども達に体験させてあげたいというのが筆者の願いです。(2003/12/25)

国立天文台 渡部潤一

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