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今年の春は早そうです。すでに国立天文台三鷹キャンパスの梅は散り始めています。こんな季節にやってくるのが春分の日。今年は3月20日ですが土曜日と重なって残念、という人も多いかもしれません。

ところで、毎年、春分や秋分の頃になると、国立天文台広報普及室に必ず多くなる質問電話があります。昼と夜の長さについての問い合わせが増えるからです。

秋分・春分の日には、太陽は真東から昇って、真西に沈みます。したがって、地球上のどんな場所でも、太陽が顔を出している昼と沈んでいる夜とが同じ長さになるはず、とついつい考えてしまうのでしょう。ところが、新聞の暦欄を見ると、ちょっとおかしい、と気づきます。たとえば、2004年3月20日の東京での日の出は5時45分、日の入りは17時53分です。おや、と思うわけです。この日の昼の長さは12時間08分となってしまいます。夜の時間は11時間52分。昼が夜よりも16分も長いことになりますね。

確かに、春分・秋分の日には、昇る太陽の中心は真東の地平線を通過します。そのちょうど12時間後、太陽の中心が真西の地平線を通過して沈みます。しかし、日の出・日の入りは、太陽の中心で定義しているのではありません。太陽の上の縁が地平線に接した瞬間で決めているのです。そのぶん昼が長くなるわけです。これは太陽だけの特殊な定義なのですが、まぁ、元旦に初日の出を見に行ったとき、太陽が少しでも顔を出した瞬間に拝むことを考えれば、当然といえるでしょう。

ですから、昼の時間は日の出から日の入りまでなので、日の出のときに太陽の半径分、また日の入りのときにも太陽の半径分、あわせてちょうど太陽1個分だけ昼が長くなるのです。ちなみに月の出入りは、その中心で定義されています。

もうひとつ、昼が長くなる理由があります。地平線付近での太陽は、「大気差」とよばれる屈折現象のために浮き上がってみえるからです。地平線に沈む太陽が、しばしばつぶれたお饅頭のように見えることがありますが、これは太陽光線が厚い大気中を斜めに通過するときに、その場所に応じた屈折率の差によって起きる現象です。そのために太陽は実際には地平線の下にあるのに、多少浮き上がって見えているのです。この浮き上がりの量は、大気の状態や季節などによっても差がありますが、一般に地平線では1度の半分ほど。つまり、太陽1個分は浮き上がって見えているのです。この浮き上がりのために、日の出と日の入り時、あわせて太陽2個分ほど昼が長くなってしまいます。

春分、秋分ともに昼の方が長くて夜の方が短くなります。その差は緯度によって異なりますが、東京では16ー18分程になり、昼夜の長さが同じになる日は春分の日、秋分の日よりも4日ほど冬至側にずれた日になります。(2004/3/11)

国立天文台 渡部潤一

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