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◆ ホーム >> 最新宇宙ニュース:2004年 >> 「はやぶさ」地球スウィングバイと地球画像

5月18日から20日にかけて、JAXA相模原キャンパスの深宇宙管制センターに喜びの表情が溢れました。昨年5月9日に打ち上げた工学実験・小惑星探査機「はやぶさ」が地球スウィングバイに成功し、そのカメラが、5月19日の地球最接近のチャンスを利用してとらえた地球と月の画像が、送られてきたのです。特に地球の画像は、予想通りのすばらしい出来栄えでした。

「はやぶさ」は、この1年あまりの間、太陽を周回する軌道を順調に飛翔し、イオンエンジンを使用して加速して来ました。今回の地球スウィングバイによって、小惑星「ITOKAWA(糸川)」へ向かう新たな楕円軌道に入りました。

今後は1週間程度をかけて詳細な軌道決定を行いますが、5月19日15時22分(日本時間)ごろに地球に最接近したものと思われます。最接近時の高度は、約4,000kmと推定されています。

イオンエンジンによる加速を地球スウィングバイと組み合わせて用い成功したのは、世界で初めての快挙です。軌道決定の作業を終えると、イオンエンジンの運転が再開され、2005年夏の出会いをめざして、小惑星「ITOKAWA(糸川)」に向かいます。

日本の宇宙科学では、X線天文学を中心とする天体物理学では、観測されたカメラの画像を手にする喜びが、すでに長年にわたって共有されて来ました。しかし固体惑星のグループとしては、今回が本格的なミッション運用に使うカメラによる初めての傑作です。

若い研究者たちの感動的な顔をいくつも見るたびに、私の胸にも熱いものがこみ上げてきました。この今の気持ちを、彼らは一生忘れないでしょう。私があの「おおすみ」打上げ成功の瞬間をその後何度も思い出したように、この感動をステップにして日本の太陽系探査をたくましく育ててほしい……本当に久しぶりに爽快な風を全身に感じながら、管制センターに立ち尽くしました。

みなさんの税金の一端を使わせていただいた宇宙ミッションが、こんな素敵な実をつけたことを報告し、「星の王子さまに会いに行きませんか」キャンペーンに世界中から名前を寄せられた88万人の人たちと一緒に、この度の快挙を祝いたいと思います。

なお、「はやぶさ」が取得し地上で処理した画像は、JAXA宇宙科学研究本部のホームページ(http://www.isas.jaxa.jp/)でもご覧いただけますが、せっかちな方のために、ここにも一部掲げさせていただきます。(2004/5/20)

「はやぶさ」が取得した画像

「はやぶさ」から撮影された地球

この画像は、5月18日午後10時(日本時間)に撮影された、地球の画像です。この時点での「はやぶさ」と地球との距離は約29万5,000kmです。撮影地点は大西洋を中心にした範囲です。写真の右側にみえている大陸は、アフリカ大陸とヨーロッパ大陸です。アフリカ大陸の西北部、イベリア半島、イギリスの一部などがみえます。写真の左側には、南北アメリカ大陸が写っています。左下側には南アメリカの東北部がくっきりと見えます。中央アメリカ付近は雲に覆われています。メキシコ付近からアメリ カ合衆国中央部、キューバなどもみえます。
この画像は、「はやぶさ」搭載の小惑星多色分光カメラ(AMICA)で撮影されました。画像は、搭載されている単色フィルタの画像3枚から合成したものです。

宇宙航空研究開発機構 的川泰宣

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