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◆ ホーム >> 最新宇宙ニュース:2004年 >> 新年の夜空に”ほうき星”を眺めてみよう

皆さんは、ほうき星を見たことがあるでしょうか? 以前、見たことがあるという人でも、最近はないなぁ、という人がほとんどかも知れません。

ほうき星は、天文学では彗星(すいせい)と呼ばれる天体です。地球と同じ太陽系の天体なのですが、太陽から遠く離れたところからやってきて、太陽に近づいて明るくなる性質があります。彗星の本体はサイズは数kmから数十kmと、天体としては小さいのですが、もともと氷でできているため、太陽に近づくと、その熱で本体が融けだし、ガスや塵(ちり)を宇宙空間に吹き出します。ガスや塵(ちり)の量が多いと、太陽の影響で吹き流されて、尾として見えるようになります。その尾が”ほうき”のように見えることから、ほうき星と呼ばれています。

毎年、たくさんの彗星が発見されていますが、肉眼で見えるような明るい彗星はせいぜい数年に一つ現れる程度です。20世紀の末には、いくつか明るいほうき星がやってきました。1996年には百武彗星が夜空の4分の一を越えるような尾を伸ばしました。翌1997年にはヘール・ボップ彗星が現れ、都心から眺められるほど明るくなって、一般の人の目を楽しませました。2004年春にも肉眼で見える彗星がいくつか出現したのですが、残念ながら地平線に近く観察条件が悪かったことに加え、天候不順で実際に眺められた人は少なかったようです。

そんなわけで、しばらくほうき星を眺めたことがない人が多いかもしれません。そこで、朗報です。2005年初の夜空に、肉眼で見えるほうき星が現れるのです。以前の大彗星のように、尾を引く姿にはなりそうにありませんが、久しぶりの肉眼彗星は、2005年の夜空からのお年玉になりそうです。

その名は、2004年夏に発見されたマックホルツ彗星(C/2004 Q2)。アメリカ・カリフォルニア州に住むアマチュア天文家・マックホルツさんが、2004年8月27日に発見した彗星です。発見されたときには11等級とたいへん暗かったのですが、その後、太陽に近づくと共に、地球にも近づいてきて、次第に明るくなってきました。12月下旬には、すでに4等級となって、星のよく見えるところなら肉眼でも確認できるほどです。

地球に最も近づくのは、お正月休み明けの1月6日、太陽に最も近づくのが1月25日ですので、お正月から1月下旬にかけては、3等級ほどの明るさになると期待されています。この彗星が見やすい理由は、これだけではありません。ひとつは彗星の位置にあります。南の空から北上を続け、北半球から眺めやすい位置に来るのです。日本では、1月中旬にはほぼ頭の真上に輝くようになります。もうひとつ、観察に適した時間帯が午後8時頃と、夜半前であることも理由の一つです。夜更かししなくても、観察可能です。さらに、この時期には月明かりの邪魔がないことも彗星のようなぼーっと広がった天体の観察に最適です。もうひとつは、彗星を探す目印があることです。肉眼で見えるといっても、初めて彗星を眺める人にとって、広い夜空から探し出すのはたいへんです。しかし、マックホルツ彗星の場合、1月6日から8日にかけて、おうし座の中にある有名な散開星団すばる(プレアデス星団)のそばを通過します。ですから、この時期であれば、肉眼でも見えるすばるが彗星を探す目印になるわけです。すばるが見つかったら、そのあたりで、ぼーっとしている彗星を探してみて、それでも見えなかったら、双眼鏡で探してみると良いでしょう。すばるの星々の鋭い輝きと、ぼーっと雲のように浮かぶ彗星の淡い輝きの競演は、2005年の大きな天体ショーのひとつであることは間違いありません。

国立天文台では、多くの人に彗星を観察してもらうため、「マックホルツ彗星見えるかな?」キャンペーンをおこなうことにしました。1月7日〜10日の間、肉眼や双眼鏡などですばるのそばに見えるマックホルツ彗星を観察してもらい、見えたか、見えなかったかの結果を、インターネット上のキャンペーンページに報告してもらおうというものです。その集計から、日本のどこで彗星が見えたかが、わかるしくみです。携帯電話からでも参加できますので、今まで彗星を見たことがないという方も、ぜひチャレンジしてみてください。詳しくは国立天文台のサイトをご覧ください。(2004/12/28)

自然科学研究機構国立天文台 渡部潤一

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