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◆ ホーム >> 最新宇宙ニュース:2005年 >> 30日の深夜、月に隠されるアンタレスを観察しよう

皆さんは、食という現象を知っているでしょうか? 月が太陽を隠す日食や、地球の影が月を覆い隠す月食は有名ですね。それ以外にも、星座を形作る星が月に隠される食もあるのです。

月は星々の間を少しずつ移動していきます。そのために、月の通り道に星があると、その星は月の向こう側に隠されます。この現象を食、あるいは星食と呼んでいます。夜空には星はたくさんありますので、実は星食はかなり頻繁に起きているのですが、たいていは暗い星が隠されるので、目立つことがありません。また、月が約一ヶ月毎にまわってくるといっても、隠される星はいつもいっしょとは限りません。月の通り道は、星空の中で次第に違っていくからです。また食が起きる時間帯が昼だったり、地球の裏側でしか見えなかったりします。ですから、惑星や一等星のように明るい星の食は非常に珍しい現象と言うことになります。

そんな珍しい一等星の食が、今月30日の深夜(日付としては31日)に起こります。さそり座の一等星アンタレスが、月に隠されるアンタレス食です。このアンタレス食が実際に観察できるのは、1991年以来のことで、実に14年ぶりとなります。また、日本でアンタレスクラスの一等星の食が条件よく見られる次の機会は、2016年のおうし座のアルデバラン食まで待たなくてはなりません。これはかなり珍しいと言えるでしょう。

今回のアンタレス食が起こるのは、31日の0時台から1時台にかけてです。30日の深夜のこととなります。しかも、日本では沖縄の南西部を除くほぼ全国で観察できます。満月過ぎの月の明るい縁にアンタレスが隠され、暗い縁から現われます。食が起こる時刻が月の出からまもなくですから、月は南東の空の低い位置にあります。かなり高度が低いので、春霞の中での観察となる可能性が強く、肉眼ではさすがの一等星アンタレスでも見にくいかも知れません。ぜひ双眼鏡などで眺めてみたいところです。また、なるべく南東の方角に高い建物や山などがない、地平線近くまで見通せる場所で観察しましょう。

アンタレス食の様子

アンタレス食の様子     (国立天文台提供)

ところで、このような現象では、天文学者はアンタレスが月に入り込む時刻や出てきた時刻を記録するような観測を行います。時計さえあれば、誰でもこの観測は行うことができます。深夜なので少し辛いですが、がんばって天文学者の真似をしてみませんか? 国立天文台では、このアンタレス食を皆さんに観察してもらおうと、「アンタレス食を計ろう」キャンペーンを行います。アンタレスが月に隠された時刻と出現の時刻を計って、観察地域の情報と共にインターネット上の国立天文台の報告ページで報告してもらうものです。春休み中でもありますので、ぜひお子さんも一緒に楽しんでみてください。(2005/3/25)

自然科学研究機構国立天文台 渡部潤一

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